新着情報

土木遺産㉑ 明石海峡の安全を守り続けた江埼灯台

土木遺産㉑ 明石海峡の安全を守り続けた江埼灯台

土木遺産㉑ 明石海峡の安全を守り続けた江埼灯台

2021.11.25

明石海峡を見下ろす江埼灯台、右の木立の背後に明石海峡大橋の主塔がのぞく

 

明石海峡は、兵庫県明石市と淡路市の間にある幅3.6kmの海峡で、潮流は7kt(13km/時)に及ぶ。1日に800隻以上の航行船舶に加えて漁船・遊漁船もきわめて多い。そこに建つのが江埼灯台である。

 

わが国の西洋式灯台は、神戸港など5港の開港に伴って諸外国の要求により建設したのが初めだが、これもそのひとつである。イギリス人のブラントン(Richard Henry Brunton、1841~1901年)の設計によるもので、1871(明治4)年の初点灯というのは現存するうちでは3番目に古い。円筒形の灯塔と扇形の平屋根附属舎で形成される。石造であり、石材は家島(姫路市)の産。

 

構造物の高さは8.3mで小ぶりな印象である。灯火の水面からの高さも45mであるが、明石海峡を見下ろす絶好の立地にある。江埼灯台の灯火には特徴があって、62,000cdの白光と24,000cdの赤光が交互に5秒ずつ発せられる。しかも、浅瀬が多く注意が必要な西側からは赤光しか見えないようになっており、船舶の位置確認を容易にしているという。無人化に伴い、操作員が駐在していた退息所は解体されている。高松市の「四国村1)」に移設されているそうだ。

 

淡路島北部は1995(平成7)年に発生した兵庫県南部地震の震源地である。直下に野島断層が走っていたので灯台も被害を受けたが、当初の外観を大きく損なわないようずれた石積みをモルタルで補強して使用している。灯台に通じる石段も最小限に補修して移動した状態を残している。

図-1 英語と日本語で初点灯日を記した銘板
図-2 退息所(職員宿舎)の跡
図-3 兵庫県南部地震でずれた石積みをモルタルで補修している
図-4 兵庫県南部地震で移動した状態を残している石段

1)公益財団法人四国民家博物館が運営する古建築の屋外型博物館。1976(昭和51)年に開館。

筆者:坂下 泰幸

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

カンサイ ドボク スタイルって何?カンサイ ドボク スタイル キッズページ震災資料保管庫へGO!

NEWS

TAG

Popular Posts

Contributor

RECOMMEND

あわせて読みたい記事

©2020 KYODO-LAB. All Rights Reserved.