2023.3.6
「カンサイドボク情報館」は、カンサイかつドボクにまつわる統計的なデータやランキングなどの情報について見聞きしたり調べたりしたことを、感想や考察を加えながらご紹介する企画です。各種データを通して、カンサイドボクについて、少しでも新たな知見が得られたり、魅力を感じてもらえたりしていただければ嬉しいなと思っています。
本企画は一般の方々を対象としているため、専門的で詳細な解釈は割愛させていただき、なるべくわかりやすく解説しながらお伝えしたいと思います。誤解のないよう留意いたしますが、お気づきの点がありましたらコメント欄からお知らせいただければと思います。
また、私自身もこの企画での情報収集を通じて、関西土木の魅力を再発見できればと思っていますので、こんなテーマの情報が知りたい、興味がある等、皆様からのリクエストのコメントもお待ちしています。
1.「道路の橋ってどのくらいあるのん?」
第1回目は、土木の代表的な構造物である「橋の数」をテーマにしました。
橋は川や湖、海、他の道路などの障害物を横断する時にスムーズに移動できることを意図して作られており、日常生活の中、無意識に利用している機会が多いのではないかと思います。
高度成長期を中心に多くの橋が作られ、経済発展や利便性の向上に一役買うなど、橋は社会になくてはならない構造物ですが、関西の各都道府県には、これまでいったいどのくらいの道路橋が作られて、供用されているのかが気になり、これを調べてみることにしました。
なお、「関西」の定義として正式なものはなく、岐阜県の関ヶ原を含む場合などもあるようですが、ここでは一般的な2府4県(大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山)を対象とさせていただきます。
今回のデータは、国土交通省から公表されている2020年度の「道路統計年報」を参照しており、集計された橋梁は高速道路、一般国道、県道、市道に架かる延長15m以上の橋梁となっています。
いったいどの都道府県に橋が多いのか!?、予想しながら読んでもらえると嬉しいです。
2.橋梁の種類
紹介するデータは、橋梁の種類別に区分されて集計されているため、はじめに橋梁の種類を簡単に紹介させていただきます。既に知っているよという方は、次の章に進んでいただければと思います。
橋の種類は、桁橋、床版橋、トラス橋、アーチ橋、ラーメン橋、斜張橋、吊り橋の7種類で、代表的な形状は以下の図の通りです。
(出典:「最上川電子大辞典」国土交通省東北地方整備局 山形河川国道事務所一部修正)
・桁橋(けたばし)
橋桁で支えられたシンプルな形の橋で、一番多く架けられている形式です。なお、人や車が載る横方向に渡している部材を桁と呼びます。
・床版橋(しょうばんきょう)
桁橋のひとつと考えられますが、桁が比較的薄い板状の形をしています.なお、人や車が載る床部分を床版と呼びます。
・トラス橋
三角形を組み合わせて作られた橋で、トラスとは三角形のことです。三角形は力に対して強い性質を持つことから考案され、鉄製で作られているものが多いです。
・アーチ橋
弓なり形状で作られた橋で、アーチとは弓なり形状のことです。円形が力に対して強い性質を持つことから考案され、古くは石をアーチ型に積み上げることにより、互いに隣の石を支え合って重さに耐える構造としたものです。現在は鉄製が多く、一部コンクリート製のものもあります。
・ラーメン橋
桁と橋脚を固定して作られた橋で、この一体構造をドイツ語でラーメンと呼びます。新幹線や道路の高架などに多く用いられています.なお,地上高く架け渡しており、橋が連続しているような構造のこと高架といいます。
・斜張橋(しゃちょうきょう)
塔から斜めに直線状に張られたケーブルにより桁を支える構造の橋を言います.斜張橋は長大橋で使われることが多いですが、美観に優れることから中小の橋や歩道橋に使われることもあります。
・吊り橋(つりばし)
塔の間に渡されるケーブルから鉛直に垂らされたロープにより桁を吊って支える構造の橋を言います.吊り橋は最大の長さを実現できるので、明石海峡大橋のような長大橋に使われていますが、深い渓谷や山間部に架ける橋としても用いられています。
3.関西の都道府県ごとの橋梁数
それでは、橋梁の数の結果です!
第1位は、ぶっちぎりの多さで約6,770橋の兵庫県
第2位は、少し差が空いて約3,270橋の大阪府
第3位は、大阪府と僅差の約3,260橋で和歌山県
という結果でした。橋梁の数で比較すると、人口や都市の規模というよりも面積の大きさに影響を受けやすいようですね。
橋梁の種類を見ると、どの県も桁橋、床版橋の割合が非常に高いですね。一般的な環境では桁橋が合理的な構造と言えそうです。
次に、橋梁種類別の積み上げグラフを書いてみました。
どの県も床版桁や桁橋が多い傾向は同じですが、和歌山県や奈良県は比較的それ以外の構造形式割合が高い結果となっており、特徴がありますね。
これらの橋は、桁橋などと比べて複雑な形になっていることもあり、美しさや魅力を感じやすい形式の橋となります。また、アーチ、トラス、吊り橋、斜張橋はいずれも数%程度で希少性が高いことがわかります。
橋好きの人が、これらの橋を見たときにテンションが上がっている場面を見たことがある人もいるかもしれませんが、その形状美だけでなく、割合的にもこれだけ少ない形式の橋となりますので、ぜひ温かい目で見てあげてくださいね。笑
4.関西の都道府県ごとの橋梁延長
先ほどは、橋梁の数で区分していましたが、次は橋梁延長(長さ)でグラフ化してみました。
第1位となったのは、橋梁数で1位に大差をつけられていた大阪府(約461km)。
第2位は、惜しくも僅差で兵庫県(約457km)。
第3位は、和歌山県を追い越して京都府(約212km)。
という結果になりました。
都市部では、橋が連続している高架橋が多く供用されており、1橋あたりの長さが長いことなどが要因となり、順位としては人口や都市の規模に影響を受けた結果となりました。
なお、大阪府の橋梁延長は約461kmで、仮に全橋梁を一列に並べた場合(空想の話ですよ?)、大阪から東京までの直線距離以上の数量となります。ちなみに、関西の全橋梁延長は約1,600kmで、大阪から中国上海を超える長さになります。
すごいストックの量ですよね!
5.全国の橋梁数ランキング
橋梁数や延長について、関西内で比較してきましたが、最後に全国のランキングをお知らせいたします。
関西で最も橋梁数が多かった兵庫県は、北海道に続き2位という結果となりました。
北海道はとても広く、橋梁の数量も圧倒的に多い結果となっていますが、兵庫県は面積の大きさに加えて海沿いに大きな都市圏も有しているので、全国的に見ても多くの橋を有していました。
続いて、橋梁延長のランキングです.
関西で最も橋梁延長が長かった大阪は、北海道、愛知県に続く第3位という結果でした.兵庫県も第4位にランクインしており、大阪、兵庫は全国的に見ても多くの橋梁延長となっていることがわかりますね。
さて、第1回のカンサイドボク情報館では、関西での道路橋梁の数や延長について、紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
みなさんが予想した結果と一致していたでしょうか?
何か新しい気づきや思うところがあれば、嬉しく思います。
また、こんなテーマの情報が知りたい、興味がある等、皆様からのリクエストのコメントもぜひぜひお待ちしています。
それでは、また次回をお楽しみに!
P.N.こっしー
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